福島県双葉町の「ひなた工房 双葉」開業記念企画として昨年開催した「ひなた短編文学賞」に、全国から数多くの作品をお寄せいただき、誠にありがとうございました。

東日本大震災・原発事故から復興する双葉町を象徴する「生まれ変わる」というテーマに対して集まった素晴らしい作品群を通じて読者の皆様にも普遍的なテーマとして受け入れていただけたことと嬉しく思っています。

この度、第二回ひなた短編文学賞を開催する運びとなりました。今年のテーマは「ちいさな幸せ」です。「コンビニができた」「居酒屋ができた」「郵便局が再開した」といった小さな喜びが双葉町では大きな幸せとなっています。日々の中にある幸せのかけらを物語にしていただきたいと思います。

現代社会で便利さや物質的な豊かさが増す中で、本当の幸せとは一体何でしょうか。
また、「生まれ変わる」は本文学賞の基本テーマとしました。こちらのテーマでも物語の中で新たな生命や可能性が芽生える姿を描いていただければと思います。

ひなた工房では、皆様の大切な思い出が詰まった衣料品を新たな形に変える取り組みを行っています。
双葉町とひなた工房の再生への取り組みが皆様の創作意欲を刺激し、新しい物語が生まれるきっかけとなることを心から願っています。

多くの皆様からのご応募を心よりお待ちしております。

募集要項

応募期間

2024年6月17日(月) ~ 7月31日(水)

発表

2024年10月30日(水)

受賞作品集を制作し、11月末に都内にて開催される第53回ベストドレッサー賞会場にて配布致します。

賞品

  • 大賞(1作品)
    - 第53回ベストドレッサー賞ペアご招待
    - ふたばのかぜ
    - CARRY THE SUN(双葉町復興応援モデル)
  • 双葉町長賞(1作品)
    - ふたばのかぜ ほか
  • MFU賞(1作品)
    - 第53回ベストドレッサー賞ペアご招待
  • 準大賞(数作品)
    - 「ふたばのかぜ+ちいさな天才(お絵描き刺繍)ギフト券」または「ぬい服 ギフト券」
  • 佳作(数作品)
    - オーダーシャツお仕立券(大人タートル、ラップネックカラーなど)
  • アイデア賞(数作品)
    - 作中に登場する衣料品のリメイクアイデアを実現し進呈いたします。
  • ティーンズ賞(数作品)
    - 思い出の服 リメイクギフト券

※ 第53回ベストドレッサー賞は、11月下旬に都内ホテルにて開催予定です。式典までの交通費は自己負担にてお願い致します。

※ 6/17時点で20歳未満の応募者はティーンズ賞の対象になります。

※ 受賞作品数、賞の内容は変更となる場合はございます。予めご了承ください。

選考委員

選考委員長:塚田浩司氏(小説家)

  • 第15回坊っちゃん文学賞大賞
  • 第2回ステキブンゲイ大賞大賞
  • 著書に「コイのレシピ」
  • 5分後に意外な結末シリーズにショートショート作品多数収録
  • 短編映画「俺の海」原作担当
  • ちくま未来新聞にてショートストーリー連載中
Twitter @ichiroku1611

選考委員長: 塚田 浩司氏(小説家)
選考委員 : 伊澤史朗氏(双葉町長)、矢島隆生(フレックスジャパン(株)代表取締役社長)、蜂賀三月氏(小説家)、ひなた工房運営スタッフ ほか

募集作品

テーマ:「生まれ変わる」「ちいさな幸せ」

「生まれ変わる」もしくは「ちいさな幸せ」をテーマにした1,000字以内の小説。

※スペース、改行は文字数としてカウント致しません。

ジャンル

不問。ただし、コンテストの趣旨に寄り添った作品を求める。

応募資格

プロ、アマ不問。

前回受賞者コメント

田原にかさん(受賞作:「可愛がって下さい」)

想像してみてください、道路の上に短くなった鉛筆が落ちていたとします。多くの人は通り過ぎるだけかもしれません。その鉛筆が父の日に娘から贈られ、大切に使われていたものだと知れば、それがお父さんの元へ戻ることを願ってしまいます。投稿したらXでバズったりします。それだけ物語は人の心を動かす力があると信じています。
主催されているフレックスジャパンさんのひなた工房では思い出をリメイクするサービスを提供されています。古い制服をぬいぐるみに変えたり、着物をトートバッグにしたりすることで、思い出という物語の価値を大切にされています。そんなフレックスジャパンさんが、小説という形で物語を残していくという活動をされていることに深く感動しています。
ひなた工房のある福島県双葉町は、「生まれ変わる」を進めている町です。町の復興の一環でもあるひなた短編文学賞の物語が今年も生まれることにワクワクを隠せません。小説を愛してやまない方も、普段書かない方も、あの鉛筆を落としてしまったお父さんも、ぜひひなた短編文学賞のために鉛筆を握ってほしいです。今はスマホで書くこともできますが、そのツッコミは一旦心にしまっていただけると幸いかと存じます。

蒼月友さん(受賞作:「愛を紡ぐ細胞」)

「ひなた短編文学賞」は、私にとって物語を書く価値について考えるきっかけになった文学賞でした。
私は自分自身のために小説を書いています。
双葉町長賞作品「愛を紡ぐ細胞」を執筆した動機もそうでした。書く事は心に内在する想いやイメージを形にするという自分を自分たらしめる行為で、執筆している最中に現れる衝動や昂りそのものに価値があると感じていました。
しかし、それがすべてではないと今は考えています。
「ひなた短編文学賞」の受賞作品たちに込められた想いは、様々な人や手段を通じて、どんどん強くなっていきました。その過程に、物語を紡ぐ行為の本懐を見た気がしたのです。
だからもし、「ひなた短編文学賞」のテーマやコンセプトによって何かしらのイメージが心に芽生えたならば、まずは自分自身のために書いてみることをお勧めしたいです。そうやって生みだした物語が誰かに届き、響き、繋がり、時には形を変え、生まれ変わっていくことの愛おしさを、この文学賞は教えてくれると思います。
受賞発表会に出席したあの夏の日、旧町役場の屋上で吹いていた強い風の感触を今でもはっきりと覚えています。
どうか再び、双葉町に文学の風を。

彼方ひらくさん(受賞作:「焦げ跡」)

前回、第一回ひなた短編文学賞でとても驚いたことがあります。それは、主催者であり、選考委員でもあるフレックスジャパン株式会社の矢島隆生さんが全応募作に目を通されていたことです。きっと、私がいただいたMFU賞の賞品としてご招待を受けたベストドレッサー賞授賞式で、矢島さんと直接お話する機会がなければ知ることはありませんでした。ですから皆さんにもお伝えしたくて、このメッセージを書いています。
単純計算して、1,000文字で800作であれば、80万文字です。本にして1冊や2冊の分量ではありません。最初から小説を上手く書ける人はいませんから、応募者の中には、初めて書いた小説でつじつまが合わないもの、自分の苦しみを吐露することに終始するもの、つい独りよがりになってしまったもの、似たような設定と似たようなストーリーになったもの、もしかしたら全く形にならなかった作品もあったかもしれません。私もかつてそういう作品を書いたことがあります。
ところが矢島さんは多忙なはずの経営者であるにもかかわらず、分け隔てなく、全応募作に対して真摯に向き合い、一作一作丁寧に、貴重な時間を割いて読んでくださっている……私はお話が終わる頃には確信していました。第一回の対談を読んだとき、
矢島さんに読んでもらうための作品を書こうと心に決めて執筆に臨みましたから、私にはこのことが何よりも嬉しかったのです。
小説は読んでもらうためにあります。ひなた短編文学賞に応募すれば確実に、心を込めて あなたの作品を
読んでくれる人がいます。こんなに素晴らしいことが他にあるでしょうか。だから私は結果がどうあれ、今年も応募します。

寿すばるさん(受賞作:「父のサムシングブルー」)

第一回佳作に選んでいただきました、寿すばると申します。この文学賞への応募は、先の震災について隣県に住んでいるのに何もできていないという歯がゆさ、が一番の動機でした。なのではじめはダイレクトに震災から何かが生まれ変わる物語を書こうかとも考えましたが、被災地で開催される文学賞ですから、私より強い熱を持って震災を描く人はいるだろう、と、自分の一番得意な分野を書くことにしました。私の力量での安易な寄り添いは打算的だと感じたからです。はじめの動機に立ち返り、主催と自分との最大公約数でできることはなにかを考え、選んでいただけたのが『父のサムシングブルー』です。とてもありがたいことに、この一年のあいだに様々な形で作品の紹介をしていただき、始まったばかりの文学賞だからこその、共に歩む喜びも感じています。このたび第二回開催という継続の報せをうかがって、私も初回の入選者として更に精進しなくてはと気持ちが引き締まる思いです。そして更に第三回、四回と回を重ね、近い将来、この文学賞を経た作家が書店を賑わすようになれば素敵ですよね。「ちいさな幸せ」という新しいテーマのもとにどんな作品が集まり、選ばれるのか…楽しみにしています。

応募規約・禁止事項

ひなた短編文学賞への応募に際して、以下の行為を禁止します。

  1. 他の文学賞・コンテストへの二重応募を禁じます。また、他の文学賞やコンテストで選考中の作品の応募はできません。
  2. AIで生成された小説の応募は原則禁止とします。ひなた工房は衣料品のリメイクを通じた「想い出の再生」という人の心をテーマとしています。本募集においても人による多くの手作り作品を期待しています。
  3. 他の応募者、主催者、共催企業など、第三者に迷惑・不利益・損害・不快感を与える行為を禁じます。第三者の権利を侵害する作品、第三者を誹謗中傷する作品の応募は行わないでください。

関係者・協力(敬称略・五十音順)

主催:フレックスジャパン株式会社
共催:一般社団法人日本メンズファッション協会
協賛:ランドポート株式会社
後援:株式会社太田屋、株式会社信州ケーブルテレビジョン、千曲市、ちくま未来新聞、(一社)ちくま未来戦略研究機構、双葉町、ファストフード店 ペンギン
協力:塚田浩司(小説家)、蜂賀三月(小説家)   ほか

ご応募はこちら

作品のご応募に関するお問い合わせは、以下メールアドレスにて承っております。

hinata-kobo@flexjapan.co.jp