ひなた短編文学賞結果発表
第二回ひなた短編文学賞にたくさんのご応募ありがとうございました。
選考委員による慎重な審査を経て、素晴らしい作品が選出されましたので、ここに発表いたします。
主催者総評
フレックスジャパン株式会社
代表取締役社長 矢島隆生
フレックスジャパン株式会社は「思い出の再生と創出」をテーマに、昨年、福島県双葉町に衣料品リメイクのアトリエ「ひなた工房 双葉」を開業し、その開業記念イベントとして「生まれ変わる」をテーマとしたひなた短編文学賞を開催いたしました。今年も新たなテーマを加えて、第二回目の開催に至りました。
父がかつて私に語った言葉が心に残っています。「お前、人はなぜ幸せになれないか分かるか? それは、人は通り過ぎてから、あるいは失って初めて、あの時が幸せだったと気づくからだ」確かにその通りです。だからこそ、今が幸せであることを感じながら生きること、過去の出来事であっても、それに出会えたこと自体が幸せだと思えるようになることが大切なのではないでしょうか。
そんな考えを胸に、「ちいさな幸せ」を追加テーマに、皆さんに作品を寄せていただきました。私たちは日々、感謝の気持ちや幸せを感じられるさまざまなことに囲まれています。美しい自然が存在することも、もしかすると奇跡なのかもしれません。この豊かな日本の環境が、いつまでも続くことを心から願っております。
ご投稿いただいた皆様、そして開催・運営にご協力いただいた個人、企業、団体の皆様に心より感謝申し上げます。誠にありがとうございました。
最後になりましたが、各賞を受賞された皆様、おめでとうございます。本当に素晴らしい作品群です。
大賞
「わたしとシーグラス」
相生たおず
双葉町長賞
「赫赤(かくせき)の糸」
小石 創樹
MFU賞
「土曜日の朝」
藤井いすい
準大賞
「秘密基地」
蛯原テトラ
佳作
「しあわせ図鑑」
yoshi
「私が小説を書く理由」
にゃんしー
「空色のワンピース」
柴野裕治
「風」
丸山湊
「爪を切る」
堀井はるひ
「おばあちゃんの推し」
月町さおり
「素麺と家族」
矢鳴 蘭々海
「かいわれ大根」
田中 へいた
アイデア賞
「結果オーライ、笑顔行き」
つだ
ティーンズ賞
「ユーストマ」
朱鳥
審査員総評
選考委員長
塚田浩司氏
小説家
受賞された皆様、おめでとうございます。また、応募していただいた方、ご助力していただいた皆様には心より感謝いたします。
今回は前回のテーマ「生まれ変わる」に加えて「ちいさな幸せ」をテーマとしました。
このテーマを加えた理由は、去年、私が初めて双葉町を訪問したとき、「念願のコンビニができた」や「居酒屋がオープンした」など、喜びの声をお聞きし、我々にとっては当たり前でも、この町にとっては特別で、そこに「ちいさな幸せ」を感じたからです。
今回、『ちいさな幸せ』をテーマにした応募作品の多くは、何気ない日常の一コマを描いていました。見落としてしまいそうなほど些細なものですが、そこには確かに『ちいさな幸せ』がありました。それは、まさに私が双葉町を訪れた際に感じたものでした。
大賞の「わたしとシーグラス」は、震災で変わってしまったおじさんとシーグラスを重ねているところが素晴らしかったです。前向きな読後感も大賞にふさわしいと思いましたし、作中にある通り、「時間の力」の凄さを感じました。満場一致の受賞です。おめでとうございます。
準大賞の「秘密基地」は、父親がガンを患うという状況にもかかわらず、家族の会話にユーモアがあり、明るさも感じました。そこが素晴らしかったです。
佳作の「しあわせ図鑑」普遍的な青春の良さが詰まっていました。
「私が小説を書く理由」一度会っただけの老人との繋がりに美しさを感じました。
「風」切ない話ではありますが、読後は心が温まりました。
「爪を切る」冒頭の一文が良く、祖父と息子に繋がりを感じるところが良かったです。
「おばあちゃんの推し」はユーモラスな作風で、おばあちゃんが可愛らしかった。
「素麺と家族」は、些細な事かもしれませんが、素麺の描写の上手さも相まって味わい深い作品でした。
「かいわれ大根」ラストでかいわれ大根の謎が判明する愛のあるお話。
「空色のワンピース」娘がご機嫌に保育園に行く。たしかにこれも小さな幸せだと思いました。
ティーンズ賞の「ユーストマ」こういう何気ない日常に幸せを感じる主人公はステキだなと思いました。
改めて、受賞者の皆様、おめでとうございます。また、受賞を逃した方々の作品も、どれも素晴らしかったです。
選考委員
八木原保
一般社団法人日本メンズファッション協会理事長
一般社団法人日本メンズファッション協会は「感動創造」を理念に掲げ、事業活動を通じて社会貢献と豊かな生活文化の実現に取り組んでいます。今年も「生まれ変わる」という思いを込めて、各被災地の一日も早い復興を願いながら、福島県双葉町発祥の「ひなた短編文学賞」を共催いたしました。
今回は「ちいさな幸せ」も新テーマに加わりました。日々の中に潜むささやかな幸せに気づかせてくれるような作品が多く寄せられ、読む人の心を和ませてくれる内容となりました。
「土曜日の朝」
引っ越し先で土曜日の朝から聞こえてくる煩わしかったアコーディンの音がいつの間にか。
忙しい毎日、大都会の裏路地を思わせるロケーションの中で主人公が見つけた幸せ。
とても素敵でお洒落な空気感の作品です。
選考委員
伊澤史朗氏
双葉町長
2023年7月、フレックスジャパン株式会社ひなた工房の双葉町立地開業を記念して創設された「ひなた短編文学賞」ですが、今年も開催の運びに至ったことを大変嬉しく思っています。
今回も多くの作品が応募されまして、執筆者の方々ならびに、本文学賞開催に関わったすべての方々に厚く御礼申し上げます。「生まれ変わる」「ちいさな幸せ」の2つをテーマとした数々の応募作品を読ませていただき、日常にある幸せを改めて受け止め、振り返ることができました。
「赫赤(かくせき)の糸」について
赤い毛糸が紡ぐ男女の出会い、新たな家族の誕生。
男女を引き寄せた赤いセーターは、リメイクされ、結婚、出産、子育てと移り変わる家族の生活を見守る新しい宝物に生まれ変わっています。単なる恋愛話ではなく、物語としての面白味もあり、日常の幸せを感じる作品でした。
双葉町について
双葉町は、東日本大震災と原子力発電所事故により甚大な被害を受けた町です。2022年8月30日の一部避難指示解除により、震災から約11年5か月ぶりにようやく人が住めるようなり、まさに双葉町は復興して、生まれ変わろうとする途上にあります。 今回の「ひなた短編文学賞」をきっかけに、一人でも多くの方に双葉町に関心を持ってもらい、双葉町の姿を見ていただきたいと思います。
選考委員
蜂賀三月氏
小説家
第1回に引き続き、僭越ながら選考委員という立場でひとつひとつの作品を拝読させていただきました。今回は第1回から続く「生まれ変わる」に加えて「ちいさな幸せ」というテーマが追加されました。作品を読み進める中で、応募していただいた作家の皆様がひなた短編文学賞が開催される意味や意義に寄り添ってくれているのが伝わってきました。素敵な物語を読んだとき、心震える物語を読んだとき、人は「ちいさな幸せ」を感じることができます。ひなた短編文学賞とその作品を通して、「ちいさな幸せ」が多くの人に届くことを、心より願っています。応募していただいた作家の皆様及び関係者の皆様に、深く感謝申し上げます。
受賞作品について、簡潔ではございますがそれぞれに選評を送らせていただきます。
【大賞】
わたしとシーグラス(作:相生たおず)
シーグラスは長い年月海中を彷徨い、砂や砂利などに揉まれて丸みを帯びる。変化していくシーグラスを通して作者からの優しいメッセージがはっきりと伝わってきた。すべての人に寄り添ってくれるもののひとつに時間がある。この物語も、きっとそんな存在になるという確信があった。
【双葉町長賞】
赫赤(かくせき)の糸(作:小石 創樹)
アイディアと設定が素晴らしかった。糸が紡がれ何度も生まれ変わっていく過程に、いくつもの「ちいさな幸せ」がしっかりと編み込まれている。現実的な作品が多いなか、この物語には不思議な要素も組み込まれているが、それは決して悪い印象にはならない。毛糸のような感触まで感じる読後感と、そのぬくもりを高く評価した。
【MFU賞】
土曜日の朝(作:藤井いすい)
コロナ禍以降急速に広まったフードデリバリーとテーマをうまく掛け合わせた作品。普段は見えていなくても隣人はいる。見えなくても音は聴こえる。孤独を感じやすい現代だが、決して独りではないのだと思うことができる。人との優しい繋がりを感じさせてくれる作品だった。
【準大賞】
秘密基地(作:蛯原テトラ)
1,000字という制限の中でテーマを最大限に活かしつつ、どんでん返しまでしっかり入れた物語の完成度を高く評価した。リアリティを感じさせながら読者を笑わせ、ほっこりとした気持ちにさせるのは簡単なことではない。何重の意味にもなる「ちいさな幸せ」。たくさんの人に味わってほしい物語。
【佳作】
しあわせ図鑑(作:yoshi)
この文学賞の受賞作品として、間違いなく相応しい作品だと感じた。小さなしあわせを共有する「しあわせ図鑑」を中心とした高校生ふたりの物語は、あたたかく、フレッシュで、人間という存在を愛しく思える。テーマに対してのベストアンサーともいえる作品だった。
私が小説を書く理由(作:にゃんしー)
奥行きのある作品で、すっと胸に入ってくるような文章が印象的だった。文章力の高さと物語の内容の親和性が高く、読んでいて気持ちいい。特徴的な店主との出逢い、店主の吉報、虹を見つけたこと、そして「私」が小説を書くこと。世界はちいさな幸せに溢れている。忘れないようにひとつひとつを書き留めていくその過程もまたちいさな幸せといえる。
空色のワンピース(作:柴野 裕治)
素敵な服と出会う。好きな服を着る。保育園に行ってくれる。そうして私も前を向ける。ささやかな幸せが連鎖していく作品。苦しさ・辛さ・幸せについてたくさんの共感が詰まっている作品であり、その共感性を高く評価した。
風(作:丸山湊)
「生まれ変わり」を信じたくなる物語。切ないが、優しい母の姿とその想いが確かに見えてくる。取り残されること、取り残してしまうこと、私たちはどちらの可能性も持っている。誰かの背中を押すことができるなら、生まれ変わりを信じる私たちでいてもいいはずだ。生きていくことが、不安にならないように。
爪を切る(作:堀井はるひ)
生と死をしっかりと描いている。「爪を切る」という行為をしている主人公の心情の変化や成長が伝わってきた。亡くなった命と新しく生まれた命、そのどちらにも思いを寄せることができる作品。
おばあちゃんの推し(作:月町さおり)
人はちょっとしたきっかけで状況が好転することがある。大切な思いはそのままに、新しい一歩を踏み出していける、そういう強さを人間は持っている。最後のおばあちゃんの台詞から、私はそんなことを感じた。あたたかみとおもしろみを味わえる素晴らしい作品。
素麺と家族(作:矢鳴 蘭々海)
まず、作品内の描写と文章力を高く評価した。文章から料理の香りや蒸気の温度、真夏の台所の空気感まで伝わってくる。1,000字という少ない文字数のなかで描写をたっぷりと入れている大胆な構成。日常をしっかり描いたからこそ、そこに存在するちいさな幸せがはっきりと見えてくる傑作。
かいわれ大根(作:田中 へいた)
愛しいから言えない。愛しいから好きなものをあげたい。そのすれ違いが微笑ましい。このような愛があるからこそのすれ違いはきっと日常にたくさん存在している。今まで見えなかったちいさな幸せを見つけていけるような、愛に溢れる作品だった。
【アイデア賞】
結果オーライ、笑顔行き(作:つだ)
過去に挫折してしまったぬいぐるみ作りに、あの時より成長した自分が再度挑戦していく。挫折のリメイクともいえるこの物語はとても微笑ましく、親子だからこそ素材のパーツをそのまま活かせることができるアイディアも良いと感じた。贈られる方も作る方も、笑顔になることだろう。
【ティーンズ賞】
ユーストマ(作:朱鳥)
自分の大切なものが誰かの大切なものになっていくその過程がとても心地よかった。思い入れは急に生まれるものばかりではない。日常を積み重ねてできていくものでもある。大切な人の大切なものを大切にしていく心が、とても美しい作品。
受賞作品集については、11月末に都内にて開催される第53回ベストドレッサー賞会場にて配布し、併せて本ページでも公開致します。
- 選択結果を選ぶと、ページが全面的に更新されます。
- 新しいウィンドウで開きます。
第二回ひなた短編文学賞にたくさんのご応募ありがとうございました。
選考委員による慎重な審査を経て、素晴らしい作品が選出されましたので、ここに発表いたします。
主催者総評
フレックスジャパン株式会社
代表取締役社長 矢島隆生
フレックスジャパン株式会社は「思い出の再生と創出」をテーマに、昨年、福島県双葉町に衣料品リメイクのアトリエ「ひなた工房 双葉」を開業し、その開業記念イベントとして「生まれ変わる」をテーマとしたひなた短編文学賞を開催いたしました。今年も新たなテーマを加えて、第二回目の開催に至りました。
父がかつて私に語った言葉が心に残っています。「お前、人はなぜ幸せになれないか分かるか? それは、人は通り過ぎてから、あるいは失って初めて、あの時が幸せだったと気づくからだ」確かにその通りです。だからこそ、今が幸せであることを感じながら生きること、過去の出来事であっても、それに出会えたこと自体が幸せだと思えるようになることが大切なのではないでしょうか。
そんな考えを胸に、「ちいさな幸せ」を追加テーマに、皆さんに作品を寄せていただきました。私たちは日々、感謝の気持ちや幸せを感じられるさまざまなことに囲まれています。美しい自然が存在することも、もしかすると奇跡なのかもしれません。この豊かな日本の環境が、いつまでも続くことを心から願っております。
ご投稿いただいた皆様、そして開催・運営にご協力いただいた個人、企業、団体の皆様に心より感謝申し上げます。誠にありがとうございました。
最後になりましたが、各賞を受賞された皆様、おめでとうございます。本当に素晴らしい作品群です。
代表取締役社長 矢島隆生
フレックスジャパン株式会社は「思い出の再生と創出」をテーマに、昨年、福島県双葉町に衣料品リメイクのアトリエ「ひなた工房 双葉」を開業し、その開業記念イベントとして「生まれ変わる」をテーマとしたひなた短編文学賞を開催いたしました。今年も新たなテーマを加えて、第二回目の開催に至りました。
父がかつて私に語った言葉が心に残っています。「お前、人はなぜ幸せになれないか分かるか? それは、人は通り過ぎてから、あるいは失って初めて、あの時が幸せだったと気づくからだ」確かにその通りです。だからこそ、今が幸せであることを感じながら生きること、過去の出来事であっても、それに出会えたこと自体が幸せだと思えるようになることが大切なのではないでしょうか。
そんな考えを胸に、「ちいさな幸せ」を追加テーマに、皆さんに作品を寄せていただきました。私たちは日々、感謝の気持ちや幸せを感じられるさまざまなことに囲まれています。美しい自然が存在することも、もしかすると奇跡なのかもしれません。この豊かな日本の環境が、いつまでも続くことを心から願っております。
ご投稿いただいた皆様、そして開催・運営にご協力いただいた個人、企業、団体の皆様に心より感謝申し上げます。誠にありがとうございました。
最後になりましたが、各賞を受賞された皆様、おめでとうございます。本当に素晴らしい作品群です。
大賞
「わたしとシーグラス」
相生たおず
双葉町長賞
「赫赤(かくせき)の糸」
小石 創樹
MFU賞
「土曜日の朝」
藤井いすい
準大賞
「秘密基地」
蛯原テトラ
佳作
「しあわせ図鑑」
yoshi
「私が小説を書く理由」
にゃんしー
「空色のワンピース」
柴野裕治
「風」
丸山湊
「爪を切る」
堀井はるひ
「おばあちゃんの推し」
月町さおり
「素麺と家族」
矢鳴 蘭々海
「かいわれ大根」
田中 へいた
アイデア賞
「結果オーライ、笑顔行き」
つだ
ティーンズ賞
「ユーストマ」
朱鳥
審査員総評
選考委員長
塚田浩司氏
小説家
受賞された皆様、おめでとうございます。また、応募していただいた方、ご助力していただいた皆様には心より感謝いたします。
今回は前回のテーマ「生まれ変わる」に加えて「ちいさな幸せ」をテーマとしました。
このテーマを加えた理由は、去年、私が初めて双葉町を訪問したとき、「念願のコンビニができた」や「居酒屋がオープンした」など、喜びの声をお聞きし、我々にとっては当たり前でも、この町にとっては特別で、そこに「ちいさな幸せ」を感じたからです。
今回、『ちいさな幸せ』をテーマにした応募作品の多くは、何気ない日常の一コマを描いていました。見落としてしまいそうなほど些細なものですが、そこには確かに『ちいさな幸せ』がありました。それは、まさに私が双葉町を訪れた際に感じたものでした。
大賞の「わたしとシーグラス」は、震災で変わってしまったおじさんとシーグラスを重ねているところが素晴らしかったです。前向きな読後感も大賞にふさわしいと思いましたし、作中にある通り、「時間の力」の凄さを感じました。満場一致の受賞です。おめでとうございます。
準大賞の「秘密基地」は、父親がガンを患うという状況にもかかわらず、家族の会話にユーモアがあり、明るさも感じました。そこが素晴らしかったです。
佳作の「しあわせ図鑑」普遍的な青春の良さが詰まっていました。
「私が小説を書く理由」一度会っただけの老人との繋がりに美しさを感じました。
「風」切ない話ではありますが、読後は心が温まりました。
「爪を切る」冒頭の一文が良く、祖父と息子に繋がりを感じるところが良かったです。
「おばあちゃんの推し」はユーモラスな作風で、おばあちゃんが可愛らしかった。
「素麺と家族」は、些細な事かもしれませんが、素麺の描写の上手さも相まって味わい深い作品でした。
「かいわれ大根」ラストでかいわれ大根の謎が判明する愛のあるお話。
「空色のワンピース」娘がご機嫌に保育園に行く。たしかにこれも小さな幸せだと思いました。
ティーンズ賞の「ユーストマ」こういう何気ない日常に幸せを感じる主人公はステキだなと思いました。
改めて、受賞者の皆様、おめでとうございます。また、受賞を逃した方々の作品も、どれも素晴らしかったです。
選考委員
八木原保
一般社団法人日本メンズファッション協会理事長
一般社団法人日本メンズファッション協会は「感動創造」を理念に掲げ、事業活動を通じて社会貢献と豊かな生活文化の実現に取り組んでいます。今年も「生まれ変わる」という思いを込めて、各被災地の一日も早い復興を願いながら、福島県双葉町発祥の「ひなた短編文学賞」を共催いたしました。
今回は「ちいさな幸せ」も新テーマに加わりました。日々の中に潜むささやかな幸せに気づかせてくれるような作品が多く寄せられ、読む人の心を和ませてくれる内容となりました。
「土曜日の朝」
引っ越し先で土曜日の朝から聞こえてくる煩わしかったアコーディンの音がいつの間にか。
忙しい毎日、大都会の裏路地を思わせるロケーションの中で主人公が見つけた幸せ。
とても素敵でお洒落な空気感の作品です。
選考委員
伊澤史朗氏
双葉町長
2023年7月、フレックスジャパン株式会社ひなた工房の双葉町立地開業を記念して創設された「ひなた短編文学賞」ですが、今年も開催の運びに至ったことを大変嬉しく思っています。
今回も多くの作品が応募されまして、執筆者の方々ならびに、本文学賞開催に関わったすべての方々に厚く御礼申し上げます。「生まれ変わる」「ちいさな幸せ」の2つをテーマとした数々の応募作品を読ませていただき、日常にある幸せを改めて受け止め、振り返ることができました。
「赫赤(かくせき)の糸」について
赤い毛糸が紡ぐ男女の出会い、新たな家族の誕生。
男女を引き寄せた赤いセーターは、リメイクされ、結婚、出産、子育てと移り変わる家族の生活を見守る新しい宝物に生まれ変わっています。単なる恋愛話ではなく、物語としての面白味もあり、日常の幸せを感じる作品でした。
双葉町について
双葉町は、東日本大震災と原子力発電所事故により甚大な被害を受けた町です。2022年8月30日の一部避難指示解除により、震災から約11年5か月ぶりにようやく人が住めるようなり、まさに双葉町は復興して、生まれ変わろうとする途上にあります。 今回の「ひなた短編文学賞」をきっかけに、一人でも多くの方に双葉町に関心を持ってもらい、双葉町の姿を見ていただきたいと思います。
選考委員
蜂賀三月氏
小説家
第1回に引き続き、僭越ながら選考委員という立場でひとつひとつの作品を拝読させていただきました。今回は第1回から続く「生まれ変わる」に加えて「ちいさな幸せ」というテーマが追加されました。作品を読み進める中で、応募していただいた作家の皆様がひなた短編文学賞が開催される意味や意義に寄り添ってくれているのが伝わってきました。素敵な物語を読んだとき、心震える物語を読んだとき、人は「ちいさな幸せ」を感じることができます。ひなた短編文学賞とその作品を通して、「ちいさな幸せ」が多くの人に届くことを、心より願っています。応募していただいた作家の皆様及び関係者の皆様に、深く感謝申し上げます。
受賞作品について、簡潔ではございますがそれぞれに選評を送らせていただきます。
【大賞】
わたしとシーグラス(作:相生たおず)
シーグラスは長い年月海中を彷徨い、砂や砂利などに揉まれて丸みを帯びる。変化していくシーグラスを通して作者からの優しいメッセージがはっきりと伝わってきた。すべての人に寄り添ってくれるもののひとつに時間がある。この物語も、きっとそんな存在になるという確信があった。
【双葉町長賞】
赫赤(かくせき)の糸(作:小石 創樹)
アイディアと設定が素晴らしかった。糸が紡がれ何度も生まれ変わっていく過程に、いくつもの「ちいさな幸せ」がしっかりと編み込まれている。現実的な作品が多いなか、この物語には不思議な要素も組み込まれているが、それは決して悪い印象にはならない。毛糸のような感触まで感じる読後感と、そのぬくもりを高く評価した。
【MFU賞】
土曜日の朝(作:藤井いすい)
コロナ禍以降急速に広まったフードデリバリーとテーマをうまく掛け合わせた作品。普段は見えていなくても隣人はいる。見えなくても音は聴こえる。孤独を感じやすい現代だが、決して独りではないのだと思うことができる。人との優しい繋がりを感じさせてくれる作品だった。
【準大賞】
秘密基地(作:蛯原テトラ)
1,000字という制限の中でテーマを最大限に活かしつつ、どんでん返しまでしっかり入れた物語の完成度を高く評価した。リアリティを感じさせながら読者を笑わせ、ほっこりとした気持ちにさせるのは簡単なことではない。何重の意味にもなる「ちいさな幸せ」。たくさんの人に味わってほしい物語。
【佳作】
しあわせ図鑑(作:yoshi)
この文学賞の受賞作品として、間違いなく相応しい作品だと感じた。小さなしあわせを共有する「しあわせ図鑑」を中心とした高校生ふたりの物語は、あたたかく、フレッシュで、人間という存在を愛しく思える。テーマに対してのベストアンサーともいえる作品だった。
私が小説を書く理由(作:にゃんしー)
奥行きのある作品で、すっと胸に入ってくるような文章が印象的だった。文章力の高さと物語の内容の親和性が高く、読んでいて気持ちいい。特徴的な店主との出逢い、店主の吉報、虹を見つけたこと、そして「私」が小説を書くこと。世界はちいさな幸せに溢れている。忘れないようにひとつひとつを書き留めていくその過程もまたちいさな幸せといえる。
空色のワンピース(作:柴野 裕治)
素敵な服と出会う。好きな服を着る。保育園に行ってくれる。そうして私も前を向ける。ささやかな幸せが連鎖していく作品。苦しさ・辛さ・幸せについてたくさんの共感が詰まっている作品であり、その共感性を高く評価した。
風(作:丸山湊)
「生まれ変わり」を信じたくなる物語。切ないが、優しい母の姿とその想いが確かに見えてくる。取り残されること、取り残してしまうこと、私たちはどちらの可能性も持っている。誰かの背中を押すことができるなら、生まれ変わりを信じる私たちでいてもいいはずだ。生きていくことが、不安にならないように。
爪を切る(作:堀井はるひ)
生と死をしっかりと描いている。「爪を切る」という行為をしている主人公の心情の変化や成長が伝わってきた。亡くなった命と新しく生まれた命、そのどちらにも思いを寄せることができる作品。
おばあちゃんの推し(作:月町さおり)
人はちょっとしたきっかけで状況が好転することがある。大切な思いはそのままに、新しい一歩を踏み出していける、そういう強さを人間は持っている。最後のおばあちゃんの台詞から、私はそんなことを感じた。あたたかみとおもしろみを味わえる素晴らしい作品。
素麺と家族(作:矢鳴 蘭々海)
まず、作品内の描写と文章力を高く評価した。文章から料理の香りや蒸気の温度、真夏の台所の空気感まで伝わってくる。1,000字という少ない文字数のなかで描写をたっぷりと入れている大胆な構成。日常をしっかり描いたからこそ、そこに存在するちいさな幸せがはっきりと見えてくる傑作。
かいわれ大根(作:田中 へいた)
愛しいから言えない。愛しいから好きなものをあげたい。そのすれ違いが微笑ましい。このような愛があるからこそのすれ違いはきっと日常にたくさん存在している。今まで見えなかったちいさな幸せを見つけていけるような、愛に溢れる作品だった。
【アイデア賞】
結果オーライ、笑顔行き(作:つだ)
過去に挫折してしまったぬいぐるみ作りに、あの時より成長した自分が再度挑戦していく。挫折のリメイクともいえるこの物語はとても微笑ましく、親子だからこそ素材のパーツをそのまま活かせることができるアイディアも良いと感じた。贈られる方も作る方も、笑顔になることだろう。
【ティーンズ賞】
ユーストマ(作:朱鳥)
自分の大切なものが誰かの大切なものになっていくその過程がとても心地よかった。思い入れは急に生まれるものばかりではない。日常を積み重ねてできていくものでもある。大切な人の大切なものを大切にしていく心が、とても美しい作品。
受賞作品集については、11月末に都内にて開催される第53回ベストドレッサー賞会場にて配布し、併せて本ページでも公開致します。
- 選択結果を選ぶと、ページが全面的に更新されます。
- 新しいウィンドウで開きます。
小説家
今回は前回のテーマ「生まれ変わる」に加えて「ちいさな幸せ」をテーマとしました。 このテーマを加えた理由は、去年、私が初めて双葉町を訪問したとき、「念願のコンビニができた」や「居酒屋がオープンした」など、喜びの声をお聞きし、我々にとっては当たり前でも、この町にとっては特別で、そこに「ちいさな幸せ」を感じたからです。
今回、『ちいさな幸せ』をテーマにした応募作品の多くは、何気ない日常の一コマを描いていました。見落としてしまいそうなほど些細なものですが、そこには確かに『ちいさな幸せ』がありました。それは、まさに私が双葉町を訪れた際に感じたものでした。
大賞の「わたしとシーグラス」は、震災で変わってしまったおじさんとシーグラスを重ねているところが素晴らしかったです。前向きな読後感も大賞にふさわしいと思いましたし、作中にある通り、「時間の力」の凄さを感じました。満場一致の受賞です。おめでとうございます。
準大賞の「秘密基地」は、父親がガンを患うという状況にもかかわらず、家族の会話にユーモアがあり、明るさも感じました。そこが素晴らしかったです。
佳作の「しあわせ図鑑」普遍的な青春の良さが詰まっていました。
「私が小説を書く理由」一度会っただけの老人との繋がりに美しさを感じました。
「風」切ない話ではありますが、読後は心が温まりました。
「爪を切る」冒頭の一文が良く、祖父と息子に繋がりを感じるところが良かったです。
「おばあちゃんの推し」はユーモラスな作風で、おばあちゃんが可愛らしかった。
「素麺と家族」は、些細な事かもしれませんが、素麺の描写の上手さも相まって味わい深い作品でした。
「かいわれ大根」ラストでかいわれ大根の謎が判明する愛のあるお話。 「空色のワンピース」娘がご機嫌に保育園に行く。たしかにこれも小さな幸せだと思いました。
ティーンズ賞の「ユーストマ」こういう何気ない日常に幸せを感じる主人公はステキだなと思いました。
改めて、受賞者の皆様、おめでとうございます。また、受賞を逃した方々の作品も、どれも素晴らしかったです。
選考委員
八木原保
一般社団法人日本メンズファッション協会理事長
一般社団法人日本メンズファッション協会は「感動創造」を理念に掲げ、事業活動を通じて社会貢献と豊かな生活文化の実現に取り組んでいます。今年も「生まれ変わる」という思いを込めて、各被災地の一日も早い復興を願いながら、福島県双葉町発祥の「ひなた短編文学賞」を共催いたしました。
今回は「ちいさな幸せ」も新テーマに加わりました。日々の中に潜むささやかな幸せに気づかせてくれるような作品が多く寄せられ、読む人の心を和ませてくれる内容となりました。
「土曜日の朝」
引っ越し先で土曜日の朝から聞こえてくる煩わしかったアコーディンの音がいつの間にか。
忙しい毎日、大都会の裏路地を思わせるロケーションの中で主人公が見つけた幸せ。
とても素敵でお洒落な空気感の作品です。
選考委員
伊澤史朗氏
双葉町長
2023年7月、フレックスジャパン株式会社ひなた工房の双葉町立地開業を記念して創設された「ひなた短編文学賞」ですが、今年も開催の運びに至ったことを大変嬉しく思っています。
今回も多くの作品が応募されまして、執筆者の方々ならびに、本文学賞開催に関わったすべての方々に厚く御礼申し上げます。「生まれ変わる」「ちいさな幸せ」の2つをテーマとした数々の応募作品を読ませていただき、日常にある幸せを改めて受け止め、振り返ることができました。
「赫赤(かくせき)の糸」について
赤い毛糸が紡ぐ男女の出会い、新たな家族の誕生。
男女を引き寄せた赤いセーターは、リメイクされ、結婚、出産、子育てと移り変わる家族の生活を見守る新しい宝物に生まれ変わっています。単なる恋愛話ではなく、物語としての面白味もあり、日常の幸せを感じる作品でした。
双葉町について
双葉町は、東日本大震災と原子力発電所事故により甚大な被害を受けた町です。2022年8月30日の一部避難指示解除により、震災から約11年5か月ぶりにようやく人が住めるようなり、まさに双葉町は復興して、生まれ変わろうとする途上にあります。 今回の「ひなた短編文学賞」をきっかけに、一人でも多くの方に双葉町に関心を持ってもらい、双葉町の姿を見ていただきたいと思います。
選考委員
蜂賀三月氏
小説家
第1回に引き続き、僭越ながら選考委員という立場でひとつひとつの作品を拝読させていただきました。今回は第1回から続く「生まれ変わる」に加えて「ちいさな幸せ」というテーマが追加されました。作品を読み進める中で、応募していただいた作家の皆様がひなた短編文学賞が開催される意味や意義に寄り添ってくれているのが伝わってきました。素敵な物語を読んだとき、心震える物語を読んだとき、人は「ちいさな幸せ」を感じることができます。ひなた短編文学賞とその作品を通して、「ちいさな幸せ」が多くの人に届くことを、心より願っています。応募していただいた作家の皆様及び関係者の皆様に、深く感謝申し上げます。
受賞作品について、簡潔ではございますがそれぞれに選評を送らせていただきます。
【大賞】
わたしとシーグラス(作:相生たおず)
シーグラスは長い年月海中を彷徨い、砂や砂利などに揉まれて丸みを帯びる。変化していくシーグラスを通して作者からの優しいメッセージがはっきりと伝わってきた。すべての人に寄り添ってくれるもののひとつに時間がある。この物語も、きっとそんな存在になるという確信があった。
【双葉町長賞】
赫赤(かくせき)の糸(作:小石 創樹)
アイディアと設定が素晴らしかった。糸が紡がれ何度も生まれ変わっていく過程に、いくつもの「ちいさな幸せ」がしっかりと編み込まれている。現実的な作品が多いなか、この物語には不思議な要素も組み込まれているが、それは決して悪い印象にはならない。毛糸のような感触まで感じる読後感と、そのぬくもりを高く評価した。
【MFU賞】
土曜日の朝(作:藤井いすい)
コロナ禍以降急速に広まったフードデリバリーとテーマをうまく掛け合わせた作品。普段は見えていなくても隣人はいる。見えなくても音は聴こえる。孤独を感じやすい現代だが、決して独りではないのだと思うことができる。人との優しい繋がりを感じさせてくれる作品だった。
【準大賞】
秘密基地(作:蛯原テトラ)
1,000字という制限の中でテーマを最大限に活かしつつ、どんでん返しまでしっかり入れた物語の完成度を高く評価した。リアリティを感じさせながら読者を笑わせ、ほっこりとした気持ちにさせるのは簡単なことではない。何重の意味にもなる「ちいさな幸せ」。たくさんの人に味わってほしい物語。
【佳作】
しあわせ図鑑(作:yoshi)
この文学賞の受賞作品として、間違いなく相応しい作品だと感じた。小さなしあわせを共有する「しあわせ図鑑」を中心とした高校生ふたりの物語は、あたたかく、フレッシュで、人間という存在を愛しく思える。テーマに対してのベストアンサーともいえる作品だった。
私が小説を書く理由(作:にゃんしー)
奥行きのある作品で、すっと胸に入ってくるような文章が印象的だった。文章力の高さと物語の内容の親和性が高く、読んでいて気持ちいい。特徴的な店主との出逢い、店主の吉報、虹を見つけたこと、そして「私」が小説を書くこと。世界はちいさな幸せに溢れている。忘れないようにひとつひとつを書き留めていくその過程もまたちいさな幸せといえる。
空色のワンピース(作:柴野 裕治)
素敵な服と出会う。好きな服を着る。保育園に行ってくれる。そうして私も前を向ける。ささやかな幸せが連鎖していく作品。苦しさ・辛さ・幸せについてたくさんの共感が詰まっている作品であり、その共感性を高く評価した。
風(作:丸山湊)
「生まれ変わり」を信じたくなる物語。切ないが、優しい母の姿とその想いが確かに見えてくる。取り残されること、取り残してしまうこと、私たちはどちらの可能性も持っている。誰かの背中を押すことができるなら、生まれ変わりを信じる私たちでいてもいいはずだ。生きていくことが、不安にならないように。
爪を切る(作:堀井はるひ)
生と死をしっかりと描いている。「爪を切る」という行為をしている主人公の心情の変化や成長が伝わってきた。亡くなった命と新しく生まれた命、そのどちらにも思いを寄せることができる作品。
おばあちゃんの推し(作:月町さおり)
人はちょっとしたきっかけで状況が好転することがある。大切な思いはそのままに、新しい一歩を踏み出していける、そういう強さを人間は持っている。最後のおばあちゃんの台詞から、私はそんなことを感じた。あたたかみとおもしろみを味わえる素晴らしい作品。
素麺と家族(作:矢鳴 蘭々海)
まず、作品内の描写と文章力を高く評価した。文章から料理の香りや蒸気の温度、真夏の台所の空気感まで伝わってくる。1,000字という少ない文字数のなかで描写をたっぷりと入れている大胆な構成。日常をしっかり描いたからこそ、そこに存在するちいさな幸せがはっきりと見えてくる傑作。
かいわれ大根(作:田中 へいた)
愛しいから言えない。愛しいから好きなものをあげたい。そのすれ違いが微笑ましい。このような愛があるからこそのすれ違いはきっと日常にたくさん存在している。今まで見えなかったちいさな幸せを見つけていけるような、愛に溢れる作品だった。
【アイデア賞】
結果オーライ、笑顔行き(作:つだ)
過去に挫折してしまったぬいぐるみ作りに、あの時より成長した自分が再度挑戦していく。挫折のリメイクともいえるこの物語はとても微笑ましく、親子だからこそ素材のパーツをそのまま活かせることができるアイディアも良いと感じた。贈られる方も作る方も、笑顔になることだろう。
【ティーンズ賞】
ユーストマ(作:朱鳥)
自分の大切なものが誰かの大切なものになっていくその過程がとても心地よかった。思い入れは急に生まれるものばかりではない。日常を積み重ねてできていくものでもある。大切な人の大切なものを大切にしていく心が、とても美しい作品。
受賞作品集については、11月末に都内にて開催される第53回ベストドレッサー賞会場にて配布し、併せて本ページでも公開致します。
- 選択結果を選ぶと、ページが全面的に更新されます。
- 新しいウィンドウで開きます。
一般社団法人日本メンズファッション協会理事長
一般社団法人日本メンズファッション協会は「感動創造」を理念に掲げ、事業活動を通じて社会貢献と豊かな生活文化の実現に取り組んでいます。今年も「生まれ変わる」という思いを込めて、各被災地の一日も早い復興を願いながら、福島県双葉町発祥の「ひなた短編文学賞」を共催いたしました。
今回は「ちいさな幸せ」も新テーマに加わりました。日々の中に潜むささやかな幸せに気づかせてくれるような作品が多く寄せられ、読む人の心を和ませてくれる内容となりました。
「土曜日の朝」
引っ越し先で土曜日の朝から聞こえてくる煩わしかったアコーディンの音がいつの間にか。
忙しい毎日、大都会の裏路地を思わせるロケーションの中で主人公が見つけた幸せ。
とても素敵でお洒落な空気感の作品です。
選考委員
伊澤史朗氏
双葉町長
2023年7月、フレックスジャパン株式会社ひなた工房の双葉町立地開業を記念して創設された「ひなた短編文学賞」ですが、今年も開催の運びに至ったことを大変嬉しく思っています。
今回も多くの作品が応募されまして、執筆者の方々ならびに、本文学賞開催に関わったすべての方々に厚く御礼申し上げます。「生まれ変わる」「ちいさな幸せ」の2つをテーマとした数々の応募作品を読ませていただき、日常にある幸せを改めて受け止め、振り返ることができました。
「赫赤(かくせき)の糸」について
赤い毛糸が紡ぐ男女の出会い、新たな家族の誕生。
男女を引き寄せた赤いセーターは、リメイクされ、結婚、出産、子育てと移り変わる家族の生活を見守る新しい宝物に生まれ変わっています。単なる恋愛話ではなく、物語としての面白味もあり、日常の幸せを感じる作品でした。
双葉町について
双葉町は、東日本大震災と原子力発電所事故により甚大な被害を受けた町です。2022年8月30日の一部避難指示解除により、震災から約11年5か月ぶりにようやく人が住めるようなり、まさに双葉町は復興して、生まれ変わろうとする途上にあります。 今回の「ひなた短編文学賞」をきっかけに、一人でも多くの方に双葉町に関心を持ってもらい、双葉町の姿を見ていただきたいと思います。
選考委員
蜂賀三月氏
小説家
第1回に引き続き、僭越ながら選考委員という立場でひとつひとつの作品を拝読させていただきました。今回は第1回から続く「生まれ変わる」に加えて「ちいさな幸せ」というテーマが追加されました。作品を読み進める中で、応募していただいた作家の皆様がひなた短編文学賞が開催される意味や意義に寄り添ってくれているのが伝わってきました。素敵な物語を読んだとき、心震える物語を読んだとき、人は「ちいさな幸せ」を感じることができます。ひなた短編文学賞とその作品を通して、「ちいさな幸せ」が多くの人に届くことを、心より願っています。応募していただいた作家の皆様及び関係者の皆様に、深く感謝申し上げます。
受賞作品について、簡潔ではございますがそれぞれに選評を送らせていただきます。
【大賞】
わたしとシーグラス(作:相生たおず)
シーグラスは長い年月海中を彷徨い、砂や砂利などに揉まれて丸みを帯びる。変化していくシーグラスを通して作者からの優しいメッセージがはっきりと伝わってきた。すべての人に寄り添ってくれるもののひとつに時間がある。この物語も、きっとそんな存在になるという確信があった。
【双葉町長賞】
赫赤(かくせき)の糸(作:小石 創樹)
アイディアと設定が素晴らしかった。糸が紡がれ何度も生まれ変わっていく過程に、いくつもの「ちいさな幸せ」がしっかりと編み込まれている。現実的な作品が多いなか、この物語には不思議な要素も組み込まれているが、それは決して悪い印象にはならない。毛糸のような感触まで感じる読後感と、そのぬくもりを高く評価した。
【MFU賞】
土曜日の朝(作:藤井いすい)
コロナ禍以降急速に広まったフードデリバリーとテーマをうまく掛け合わせた作品。普段は見えていなくても隣人はいる。見えなくても音は聴こえる。孤独を感じやすい現代だが、決して独りではないのだと思うことができる。人との優しい繋がりを感じさせてくれる作品だった。
【準大賞】
秘密基地(作:蛯原テトラ)
1,000字という制限の中でテーマを最大限に活かしつつ、どんでん返しまでしっかり入れた物語の完成度を高く評価した。リアリティを感じさせながら読者を笑わせ、ほっこりとした気持ちにさせるのは簡単なことではない。何重の意味にもなる「ちいさな幸せ」。たくさんの人に味わってほしい物語。
【佳作】
しあわせ図鑑(作:yoshi)
この文学賞の受賞作品として、間違いなく相応しい作品だと感じた。小さなしあわせを共有する「しあわせ図鑑」を中心とした高校生ふたりの物語は、あたたかく、フレッシュで、人間という存在を愛しく思える。テーマに対してのベストアンサーともいえる作品だった。
私が小説を書く理由(作:にゃんしー)
奥行きのある作品で、すっと胸に入ってくるような文章が印象的だった。文章力の高さと物語の内容の親和性が高く、読んでいて気持ちいい。特徴的な店主との出逢い、店主の吉報、虹を見つけたこと、そして「私」が小説を書くこと。世界はちいさな幸せに溢れている。忘れないようにひとつひとつを書き留めていくその過程もまたちいさな幸せといえる。
空色のワンピース(作:柴野 裕治)
素敵な服と出会う。好きな服を着る。保育園に行ってくれる。そうして私も前を向ける。ささやかな幸せが連鎖していく作品。苦しさ・辛さ・幸せについてたくさんの共感が詰まっている作品であり、その共感性を高く評価した。
風(作:丸山湊)
「生まれ変わり」を信じたくなる物語。切ないが、優しい母の姿とその想いが確かに見えてくる。取り残されること、取り残してしまうこと、私たちはどちらの可能性も持っている。誰かの背中を押すことができるなら、生まれ変わりを信じる私たちでいてもいいはずだ。生きていくことが、不安にならないように。
爪を切る(作:堀井はるひ)
生と死をしっかりと描いている。「爪を切る」という行為をしている主人公の心情の変化や成長が伝わってきた。亡くなった命と新しく生まれた命、そのどちらにも思いを寄せることができる作品。
おばあちゃんの推し(作:月町さおり)
人はちょっとしたきっかけで状況が好転することがある。大切な思いはそのままに、新しい一歩を踏み出していける、そういう強さを人間は持っている。最後のおばあちゃんの台詞から、私はそんなことを感じた。あたたかみとおもしろみを味わえる素晴らしい作品。
素麺と家族(作:矢鳴 蘭々海)
まず、作品内の描写と文章力を高く評価した。文章から料理の香りや蒸気の温度、真夏の台所の空気感まで伝わってくる。1,000字という少ない文字数のなかで描写をたっぷりと入れている大胆な構成。日常をしっかり描いたからこそ、そこに存在するちいさな幸せがはっきりと見えてくる傑作。
かいわれ大根(作:田中 へいた)
愛しいから言えない。愛しいから好きなものをあげたい。そのすれ違いが微笑ましい。このような愛があるからこそのすれ違いはきっと日常にたくさん存在している。今まで見えなかったちいさな幸せを見つけていけるような、愛に溢れる作品だった。
【アイデア賞】
結果オーライ、笑顔行き(作:つだ)
過去に挫折してしまったぬいぐるみ作りに、あの時より成長した自分が再度挑戦していく。挫折のリメイクともいえるこの物語はとても微笑ましく、親子だからこそ素材のパーツをそのまま活かせることができるアイディアも良いと感じた。贈られる方も作る方も、笑顔になることだろう。
【ティーンズ賞】
ユーストマ(作:朱鳥)
自分の大切なものが誰かの大切なものになっていくその過程がとても心地よかった。思い入れは急に生まれるものばかりではない。日常を積み重ねてできていくものでもある。大切な人の大切なものを大切にしていく心が、とても美しい作品。
双葉町長
「赫赤(かくせき)の糸」について
赤い毛糸が紡ぐ男女の出会い、新たな家族の誕生。 男女を引き寄せた赤いセーターは、リメイクされ、結婚、出産、子育てと移り変わる家族の生活を見守る新しい宝物に生まれ変わっています。単なる恋愛話ではなく、物語としての面白味もあり、日常の幸せを感じる作品でした。
双葉町について
双葉町は、東日本大震災と原子力発電所事故により甚大な被害を受けた町です。2022年8月30日の一部避難指示解除により、震災から約11年5か月ぶりにようやく人が住めるようなり、まさに双葉町は復興して、生まれ変わろうとする途上にあります。 今回の「ひなた短編文学賞」をきっかけに、一人でも多くの方に双葉町に関心を持ってもらい、双葉町の姿を見ていただきたいと思います。
選考委員
蜂賀三月氏
小説家
第1回に引き続き、僭越ながら選考委員という立場でひとつひとつの作品を拝読させていただきました。今回は第1回から続く「生まれ変わる」に加えて「ちいさな幸せ」というテーマが追加されました。作品を読み進める中で、応募していただいた作家の皆様がひなた短編文学賞が開催される意味や意義に寄り添ってくれているのが伝わってきました。素敵な物語を読んだとき、心震える物語を読んだとき、人は「ちいさな幸せ」を感じることができます。ひなた短編文学賞とその作品を通して、「ちいさな幸せ」が多くの人に届くことを、心より願っています。応募していただいた作家の皆様及び関係者の皆様に、深く感謝申し上げます。
受賞作品について、簡潔ではございますがそれぞれに選評を送らせていただきます。
【大賞】
わたしとシーグラス(作:相生たおず)
シーグラスは長い年月海中を彷徨い、砂や砂利などに揉まれて丸みを帯びる。変化していくシーグラスを通して作者からの優しいメッセージがはっきりと伝わってきた。すべての人に寄り添ってくれるもののひとつに時間がある。この物語も、きっとそんな存在になるという確信があった。
【双葉町長賞】
赫赤(かくせき)の糸(作:小石 創樹)
アイディアと設定が素晴らしかった。糸が紡がれ何度も生まれ変わっていく過程に、いくつもの「ちいさな幸せ」がしっかりと編み込まれている。現実的な作品が多いなか、この物語には不思議な要素も組み込まれているが、それは決して悪い印象にはならない。毛糸のような感触まで感じる読後感と、そのぬくもりを高く評価した。
【MFU賞】
土曜日の朝(作:藤井いすい)
コロナ禍以降急速に広まったフードデリバリーとテーマをうまく掛け合わせた作品。普段は見えていなくても隣人はいる。見えなくても音は聴こえる。孤独を感じやすい現代だが、決して独りではないのだと思うことができる。人との優しい繋がりを感じさせてくれる作品だった。
【準大賞】
秘密基地(作:蛯原テトラ)
1,000字という制限の中でテーマを最大限に活かしつつ、どんでん返しまでしっかり入れた物語の完成度を高く評価した。リアリティを感じさせながら読者を笑わせ、ほっこりとした気持ちにさせるのは簡単なことではない。何重の意味にもなる「ちいさな幸せ」。たくさんの人に味わってほしい物語。
【佳作】
しあわせ図鑑(作:yoshi)
この文学賞の受賞作品として、間違いなく相応しい作品だと感じた。小さなしあわせを共有する「しあわせ図鑑」を中心とした高校生ふたりの物語は、あたたかく、フレッシュで、人間という存在を愛しく思える。テーマに対してのベストアンサーともいえる作品だった。
私が小説を書く理由(作:にゃんしー)
奥行きのある作品で、すっと胸に入ってくるような文章が印象的だった。文章力の高さと物語の内容の親和性が高く、読んでいて気持ちいい。特徴的な店主との出逢い、店主の吉報、虹を見つけたこと、そして「私」が小説を書くこと。世界はちいさな幸せに溢れている。忘れないようにひとつひとつを書き留めていくその過程もまたちいさな幸せといえる。
空色のワンピース(作:柴野 裕治)
素敵な服と出会う。好きな服を着る。保育園に行ってくれる。そうして私も前を向ける。ささやかな幸せが連鎖していく作品。苦しさ・辛さ・幸せについてたくさんの共感が詰まっている作品であり、その共感性を高く評価した。
風(作:丸山湊)
「生まれ変わり」を信じたくなる物語。切ないが、優しい母の姿とその想いが確かに見えてくる。取り残されること、取り残してしまうこと、私たちはどちらの可能性も持っている。誰かの背中を押すことができるなら、生まれ変わりを信じる私たちでいてもいいはずだ。生きていくことが、不安にならないように。
爪を切る(作:堀井はるひ)
生と死をしっかりと描いている。「爪を切る」という行為をしている主人公の心情の変化や成長が伝わってきた。亡くなった命と新しく生まれた命、そのどちらにも思いを寄せることができる作品。
おばあちゃんの推し(作:月町さおり)
人はちょっとしたきっかけで状況が好転することがある。大切な思いはそのままに、新しい一歩を踏み出していける、そういう強さを人間は持っている。最後のおばあちゃんの台詞から、私はそんなことを感じた。あたたかみとおもしろみを味わえる素晴らしい作品。
素麺と家族(作:矢鳴 蘭々海)
まず、作品内の描写と文章力を高く評価した。文章から料理の香りや蒸気の温度、真夏の台所の空気感まで伝わってくる。1,000字という少ない文字数のなかで描写をたっぷりと入れている大胆な構成。日常をしっかり描いたからこそ、そこに存在するちいさな幸せがはっきりと見えてくる傑作。
かいわれ大根(作:田中 へいた)
愛しいから言えない。愛しいから好きなものをあげたい。そのすれ違いが微笑ましい。このような愛があるからこそのすれ違いはきっと日常にたくさん存在している。今まで見えなかったちいさな幸せを見つけていけるような、愛に溢れる作品だった。
【アイデア賞】
結果オーライ、笑顔行き(作:つだ)
過去に挫折してしまったぬいぐるみ作りに、あの時より成長した自分が再度挑戦していく。挫折のリメイクともいえるこの物語はとても微笑ましく、親子だからこそ素材のパーツをそのまま活かせることができるアイディアも良いと感じた。贈られる方も作る方も、笑顔になることだろう。
【ティーンズ賞】
ユーストマ(作:朱鳥)
自分の大切なものが誰かの大切なものになっていくその過程がとても心地よかった。思い入れは急に生まれるものばかりではない。日常を積み重ねてできていくものでもある。大切な人の大切なものを大切にしていく心が、とても美しい作品。
小説家
【大賞】
わたしとシーグラス(作:相生たおず)
シーグラスは長い年月海中を彷徨い、砂や砂利などに揉まれて丸みを帯びる。変化していくシーグラスを通して作者からの優しいメッセージがはっきりと伝わってきた。すべての人に寄り添ってくれるもののひとつに時間がある。この物語も、きっとそんな存在になるという確信があった。
【双葉町長賞】
赫赤(かくせき)の糸(作:小石 創樹)
アイディアと設定が素晴らしかった。糸が紡がれ何度も生まれ変わっていく過程に、いくつもの「ちいさな幸せ」がしっかりと編み込まれている。現実的な作品が多いなか、この物語には不思議な要素も組み込まれているが、それは決して悪い印象にはならない。毛糸のような感触まで感じる読後感と、そのぬくもりを高く評価した。
【MFU賞】
土曜日の朝(作:藤井いすい)
コロナ禍以降急速に広まったフードデリバリーとテーマをうまく掛け合わせた作品。普段は見えていなくても隣人はいる。見えなくても音は聴こえる。孤独を感じやすい現代だが、決して独りではないのだと思うことができる。人との優しい繋がりを感じさせてくれる作品だった。
【準大賞】
秘密基地(作:蛯原テトラ)
1,000字という制限の中でテーマを最大限に活かしつつ、どんでん返しまでしっかり入れた物語の完成度を高く評価した。リアリティを感じさせながら読者を笑わせ、ほっこりとした気持ちにさせるのは簡単なことではない。何重の意味にもなる「ちいさな幸せ」。たくさんの人に味わってほしい物語。
【佳作】
しあわせ図鑑(作:yoshi)
この文学賞の受賞作品として、間違いなく相応しい作品だと感じた。小さなしあわせを共有する「しあわせ図鑑」を中心とした高校生ふたりの物語は、あたたかく、フレッシュで、人間という存在を愛しく思える。テーマに対してのベストアンサーともいえる作品だった。
私が小説を書く理由(作:にゃんしー)
奥行きのある作品で、すっと胸に入ってくるような文章が印象的だった。文章力の高さと物語の内容の親和性が高く、読んでいて気持ちいい。特徴的な店主との出逢い、店主の吉報、虹を見つけたこと、そして「私」が小説を書くこと。世界はちいさな幸せに溢れている。忘れないようにひとつひとつを書き留めていくその過程もまたちいさな幸せといえる。
空色のワンピース(作:柴野 裕治)
素敵な服と出会う。好きな服を着る。保育園に行ってくれる。そうして私も前を向ける。ささやかな幸せが連鎖していく作品。苦しさ・辛さ・幸せについてたくさんの共感が詰まっている作品であり、その共感性を高く評価した。
風(作:丸山湊)
「生まれ変わり」を信じたくなる物語。切ないが、優しい母の姿とその想いが確かに見えてくる。取り残されること、取り残してしまうこと、私たちはどちらの可能性も持っている。誰かの背中を押すことができるなら、生まれ変わりを信じる私たちでいてもいいはずだ。生きていくことが、不安にならないように。
爪を切る(作:堀井はるひ)
生と死をしっかりと描いている。「爪を切る」という行為をしている主人公の心情の変化や成長が伝わってきた。亡くなった命と新しく生まれた命、そのどちらにも思いを寄せることができる作品。
おばあちゃんの推し(作:月町さおり)
人はちょっとしたきっかけで状況が好転することがある。大切な思いはそのままに、新しい一歩を踏み出していける、そういう強さを人間は持っている。最後のおばあちゃんの台詞から、私はそんなことを感じた。あたたかみとおもしろみを味わえる素晴らしい作品。
素麺と家族(作:矢鳴 蘭々海)
まず、作品内の描写と文章力を高く評価した。文章から料理の香りや蒸気の温度、真夏の台所の空気感まで伝わってくる。1,000字という少ない文字数のなかで描写をたっぷりと入れている大胆な構成。日常をしっかり描いたからこそ、そこに存在するちいさな幸せがはっきりと見えてくる傑作。
かいわれ大根(作:田中 へいた)
愛しいから言えない。愛しいから好きなものをあげたい。そのすれ違いが微笑ましい。このような愛があるからこそのすれ違いはきっと日常にたくさん存在している。今まで見えなかったちいさな幸せを見つけていけるような、愛に溢れる作品だった。
【アイデア賞】
結果オーライ、笑顔行き(作:つだ)
過去に挫折してしまったぬいぐるみ作りに、あの時より成長した自分が再度挑戦していく。挫折のリメイクともいえるこの物語はとても微笑ましく、親子だからこそ素材のパーツをそのまま活かせることができるアイディアも良いと感じた。贈られる方も作る方も、笑顔になることだろう。
【ティーンズ賞】
ユーストマ(作:朱鳥)
自分の大切なものが誰かの大切なものになっていくその過程がとても心地よかった。思い入れは急に生まれるものばかりではない。日常を積み重ねてできていくものでもある。大切な人の大切なものを大切にしていく心が、とても美しい作品。
受賞作品集については、11月末に都内にて開催される第53回ベストドレッサー賞会場にて配布し、併せて本ページでも公開致します。