コ-トより、ご親戚の形見分けにお財布のご依頼をいただきました。
布でリメイクしたものも素敵ですが、毎日持っていたらすぐに傷むと思い、
革製品だったらずっと長く持てると考え、財布は身内にもあげようと依頼
しました。
中布に父の茶色のスーツを使い男性用、
女性用は、母の白色系の着物を使って作製。
これは父が、たぶん。たぶんなんですが自分が着ようと思って買って来た
皮のコートなんですが、母が「やだ?女物だよ。」というやり取りをしていた記憶があります。
小柄だった父は、お店で着てちょうど良かった物を選んだんだと思います。
母にそう言われても、革ジャンや皮のコートが流行ってた頃でしたので、
父はそれを着て得意げな顔して?満足気に出掛けていったと思います。
でも、店舗での受け取りの際に 「ポケットに入ってましたよ。」と綺麗に
アイロンを掛けて渡されたハンカチは母の物でした。
そうなんです、このコートは二人が着たんだ!と分かったのです。
もしかしたら、父は最初から母に来てもらいたくて女性用を選んだのかも
しれません。照れ臭くて、素直にプレゼントとして渡せない性格だったから。
10年先に亡くなった母の衣服は殆どないのに、このコートだけはあったのは
そういう思い出の物だったのかなと思いました。
お財布は、中にカードも小銭も入れられる仕切りがついた複雑な物です。
どこか簡略されてもいい、デザインは変わっても製作しやすいようにして下されば、と思っていたのですが、申し訳ないくらいに、お願いしたデザインに忠実に作って頂きました。
本当に制作に携わって下さった方々に感謝しかありません。
姪っ子には なかなか会えないので、最初LINEで写真を送り、持ってくれるか
気持ちを聞いてみました。
「いいね。おばちゃんがくれる方でいいから、ほしい!でも白いの可愛いから
白い方がいい。」と言うので、私が持っていようと思った女性用をあげることにしました。
先日、親戚の叔父が亡くなりお通夜に一緒に行く事になり思いがけずに手渡す事ができました。
「おばちゃん、これいいね!ちょっと大きめだから リップとか小物入れようかな?」
お爺ちゃんが着なくなった洋服、捨てちゃうだけだったけど、「こんな風に使える物になるって素敵だね、いいね!」と喜んでくれました。
弟も小銭入れで持ち歩くには ちょっと大きいから、マイナンバーカードやら、
貴重品入れにしてもいいな。と言ってくれました。
リメイク品に興味がなかった、親戚も横で見ていて、素敵だね。と言ってくれました。
ただ、手元に残った自分用が男性用しか残らなかったのは、私の依頼ミスでした。
私の娘も息子も、革製品のお財布を気に入ってくれました。
そばに持ってたら、お爺ちゃんとお婆ちゃんがいつも見守ってくれてるよ。
二人が着た皮のコートなんだから。
これからもよろしくね。そんな気持ちでいっぱいです。
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M様
コメントいただき誠にありがとうございます。
お二人の想い出が詰まったコ-ト、
ご親戚の間で、改めてご両親の想い出も共有できたと伺いました。
リメイク品に、ご興味がなかった若い方も関心を持って
いただいたとのこと、わたくしたちもとてもうれしく思います。
作り手の思いまで、 汲み取っていただきありがとう
ございます。
作り手は、日々縫製に携わっていてもお客様の想いの
入った、唯一無二のお洋服にハサミを入れる瞬間は、
気持ちも新たに、身が引き締まる思いとのことです。
それは、お客様の想いを受け、新たに生まれ変えらせ
たいという想い。
ひとえにその一助に繋がっていだければと願わずには
いられないのです。
M様コメントいただきありがとうございました。